DAYDREAM

つまらないことを、つらつらと。

知らないものは選べない、という話。

詳しいことはわからないし、この女性がどんな人だったのか調べないで言ってるからズレてたらゴメンなんだけど、

 

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最上のレールに乗って来たこの人には「電通を辞めて実家に帰る」なんて選択肢があったと思う?

 

日本の最高学府を出て、新卒のカードで超大企業に入って、そこで一流エリートとして生きていく…そうチューニングされた人生像。
そこをいびり出されてとか、病気になってとか、不本意な形でやめるなんて、彼女の中には想定されていなかったはず。

 

「なぜ辞めなかったのか」ではなく、ナチュラルに「辞めたら生きていけないからしがみ付いていた」なんだと思う…。

 

大学出たての、きっと挫折経験もない若い人である。
東大卒スーパーエリートの生き方しか周りにない。友達もきっと名のある大企業に就職したことだろう。挫折しつつある自分の参考にはならない。
辞めたら落伍者でどこの誰も拾ってくれない、ここで踏ん張らないと生活保護…くらいの思考の短絡さというものはあったと思う。
社会に出るという意味では、赤ちゃんみたいなものである。経験が無いところに柔軟性は生まれない。

 

まして、忙しい上に嫌がらせを受けるような環境では抑うつっぽく(自殺まで考えてたんだから、医者に診せればうつ病と言われたはずだ)なってたわけで、そういう人は病のせいで、白か黒かでものを考えるようになる。
仕事頑張る or die!! …ってのは全く不思議な話じゃない。

 

役所とか大手企業には自殺者やうつ病患者がたくさんいる。
「え?ここそんなに激務なの?」って思う向きもいるかもしれない(残業100時間が当たり前ってのは、間違いなく激務だと思うけど)。
そこの病理は、実は「辞めるという選択肢が無い」ということなのかもしれない。
辞めてごらんよ、「なんでそんなに恵まれた会社辞めちゃったの!?」ってみんなから言われるから。あれマジで苦痛だから。
再就職のときにも面接で絶対聞かれ、「ああ、あんな恵まれた大企業辞めたんだ。うちもすぐ辞めるかも」ってマイナス点を加えられることになるから。

 

別にこの若い女性が「選択を誤って親の元に帰らなかった」ことが問題なのではない。
「辞めて家に帰っても人生はやり直せるし、どうにでも幸せになる方法はあるんだよ」っていう選択肢を与えられるきっかけが無かったことに痛ましさがあるのだと思う。
彼女には「華やかな学歴」と「若さ」というアドバンテージがあったのだから、実はさっさと辞めて第二新卒として就活してもあまり痛手はなかったのではないかと思う。

 

もっと大きなことを言えば、日本にはレールを外れた人が安心して生きていく機能が何一つ無い。
若くもなくたいしたウリもない感じで、仕事が合わなかったり病気になったりした「不本意に辞めた普通の人」は、再就職がとても難しい。
でも再就職しやすいように…非正規しか選べないなんてことがないように…なってないと、まぁ自殺者増えるよね。

 

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